ちょっと奥さん、聞いてよ

日々の出来事を小説風に記録。社会の端っこで息をひそめる人間の物語。ここだけは自分が主役。

ポジティブ始めました

よし、今日は自分から色んな人に話しかけることができた。

周りの人たちと比べるとまだまだ口数は少ないだろうけど、それでも会話ができただけ良しとしよう。

とりあえず頑張ったかな。

 

この日、マガルは積極的に周りと会話をしていた。

傍目には『内気な人』という枠から出るほどではなかっただろうが、普段の彼からすると驚くほどの会話量だったと言えるだろう。

以前までは「会社には自分のことを理解してくれる人がいない」と嘆くだけだったが、この日記を書くうちに、自分から不幸になるための理由を探していることに気づいたようだ。

 

幸福も不幸も誰かが与えてくれるものではなく、自分から見つけに行くものだ。

幸福を探しながら歩くか不幸を探しながら歩くかで、日常のあらゆる部分で捉え方が変わってくる。

幸福を探しながら歩けば、階段を降りるときに響く足音や朝の空気の匂い、お茶を飲んだ時に喉から全身に温度が行き渡る感覚まで、普段気にも留めていなかったことに幸せを感じるようになる。

 

マガルは今日、その片鱗に触れた。

 

明日を良い日にするのは高望みかもしれない。

でも、良い日になるように小さな幸せを探すくらいはやってみよう。

 

マガルは今日、人生で初めてポジティブな一日を送った。

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