ちょっと奥さん、聞いてよ

日々の出来事を小説風に記録。社会の端っこで息をひそめる人間の物語。ここだけは自分が主役。

鳴かぬなら 代わりに鳴くよ ホトトギス

何気なくテレビを見ていると『ブレイブ』という映画のCMが流れてきた。

現代の高校生が、織田信長が生きていた時代にタイムスリップをするという話らしい。

 

手に持っていた缶チューハイを口につけ、体をのけぞらせる。

ズズッという音が部屋に響き、深いため息が後を追って部屋を埋め尽くす。

 

この映画だけでなく、今まで何度も信長の時代にタイムスリップした映画を見てきた。

信長も、まさかここまで現代の人間がやってくるとは思ってもみなかっただろう。

最初こそ斬新な切り口と話題になったかもしれないが、今となってはやりつくされて乾いたぞうきんを絞るような設定だ。

今さら高校生がタイムスリップしてきたところで、信長は驚かないかもしれない。

それどころか、カメラを向けられてもポーズをキメるくらいに慣れているかもしれない。

 

その点私は、高校生が家に来たら驚くし、カメラを向けられてもポーズ一つ決めることができない。

せいぜいモジモジしながらはにかむのが関の山だろう。

信長よりもよっぽどリアルなリアクションを取れる自信がある。

映画監督には詳しくないので、ブレイブの監督が誰かなんて分からないが、すれた信長を起用するくらいなら私を起用したらどうだろうか。

 

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