ねむい
脳がだんだん溶けていくような、それでいて少しずつ重みが増して実体を帯びていくような感覚だ。
手足までは伝達が行き届かず、脳だけがギリギリのところで動いている。
呼吸に合わせて毛布が微かに上下し、肌を優しくなでる。
動きはしないものの、かろうじて感覚だけは残っているようだ。
この状態が、気持ちいい。
いらないものがどんどん削ぎ落とされていき、自分を幸せにする感覚だけが残されている。
目を閉じて力を抜けば一瞬で深い眠りに落ちるだろう。
すぐに眠ることができるし、永遠に起き続けていられるような気もする。
何に縛られることもなく自分の欲で起きているこの状況は、最も自由で贅沢だと思う。
時折遠くで車の音が聞こえてくる。
今はその音だけが私と世界をつないでいる。
今日の反省も、明日の不安もすべて体から分離していき、私だけがこの空間にいる。
今、私は自由だ。