ちょっと奥さん、聞いてよ

日々の出来事を小説風に記録。社会の端っこで息をひそめる人間の物語。ここだけは自分が主役。

上司と社畜と悪魔と私

「ちょっと荷物の受け取り行ってきて」

 

上司に軽い感じで頼みごとをされ、同じく軽い感じで「はい」と返事をした。

先に確認をしなかった私が悪かったのだろうか、なんと隣の県まで荷物を受け取りに行くことになってしまった。

上司と私の間で”ちょっと”という言葉に大きなズレがあったようだ。

 

嫌々ながらも今更断るわけにもいかず、これは仕事だからと自分を強引に納得させて社用車のエンジンをかける。

1時間弱ほど車を走らせて取引先の会社へ到着。

 

行き道では「せっかくここまで来たんだしちょっとサボって帰ろう」という小悪魔と、

「仕事が山積みなんだからさっさと帰らなきゃ」という小社畜が頭の中で争っていた。

小天使が現れてくれれば「上司のためになって嬉しい☆」とポジティブな考えが生まれたかもしれないが、そんな気配はなく、小悪魔と小社畜の争いによって私の口からは舌打ちが漏れるだけだった。

 

頭の中での勝負は熾烈を極めたが、結局のところ小悪魔が僅差で勝利を収めた。

恐らくはぎりぎりの判定勝ちだったと思う。道の駅で時間をつぶしながらも頭の中では「帰ったらあの書類をまとめて、そのあとデータの修正をして・・・」と小社畜が私の心を沈めていた。

こんなことなら寄り道などせずにまっすぐ帰り、さっさと仕事を終わらせるべきだった。

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