ちょっと奥さん、聞いてよ

日々の出来事を小説風に記録。社会の端っこで息をひそめる人間の物語。ここだけは自分が主役。

まぶたのほし

タンタンタンと窓から優しい音が響きマガルが顔を向けると、雨が降り始めていた。

テレビの音量を下げて、雨の音に耳を傾ける。

静かな部屋でマガルは小さく微笑んでいた。

 

家の中で聞く雨音は、ここにいていいよと言ってくれているような気がする。

 

眠くはないが電気を消し、横になってみる。

ゆっくりと目を閉じ、マガルは音の世界に没入する。

 

タタタタタッ。

さっきより少し雨脚が強まっているようだ。

 

次第に、音に合わせて目を閉じた時だけ見える景色が広がり始める。

色とりどりの星が動き回り、一瞬何かを形作っては散り散りになっていく。

やがて星たちは少しずつ色を落としていく。

マガルは遠のく意識の中で小さな幸せを感じていた。

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